個人投資家が方向転換?
アメリカ株式市場が今年2018年1月~2月に崩れてから、これまで個人投資家は下落に対して買い向かう姿勢を見せていました。しかし、とうとう10月の崩れをきっかけに心が折れたようです。こちらのBloombergの記事がその事を取り上げています。ヘッジファンドというのは私筆者は個人の延長と考えています。世の中には星の数ほどのヘッジファンドがあるのがその理由です。一応職業として相場に参加しているのでプロという位置づけかもしれませんが、しかしヘッジファンドをひとくくりで見てしまえば実体は個人投資家の延長と言えます。
ヘッジファンドも個人投資家もやっと降参-10月の株売りで
2018年の展開はやはり相場の大天井を形成するような動き方をしているように思えて仕方がありません。アメリカや日本は今景気がよく、順風満帆なように見えます。しかし、今がピークだという考えは今年の前半においては主流ではありませんでした。そういった考え方が徐々に拡散してきている状況が相場の動きから読み取れます。2018年1月に米株市場は崩れました。このとき筆者は2018年1月が米株相場のピークと考えてしまいました。しかしそれは間違っていました。意外なほどに買い向かう投資家が多く存在し、2018年10月にはダウ、NASDAQ、S&P500ともにとうとう1月の高値を超えて最高値を付けました。筆者もこれには少々驚かされました。まさに相場に絶対はないということを再認識させられました。裏を返せば10月とて天井ではない可能性を否定することはできません。相場とはそういうものです。しかし、相場に参加する以上見通しをもって参加しなくてはならず、ここは投資家のセンスが大いに問われるところです。
話を元に戻しますと、2018年1月からの下落に対してヘッジファンドや個人投資家は買い向かいました。その結果10月に高値を取ることとなりました。10月に再び相場が崩れました。しかし、再びヘッジファンドや個人投資家は買い向かいました。米中間選挙後からまた高値を狙うのかという勢いで米株は上昇しました。しかし、11月8日に2番天井を付けてからまた下落に向かうこととなりました。これがかなり個人投資家とヘッジファンドに効いたようです。とうとう両者が弱気になってしまいました。
本当のプロは巨額の資金を運用する欧米の年金ファンド運用者
年金ファンドは運用額もけた違いに巨額であるために、刹那的、感情的な運用をすることはできません。最も確実な方法を取ります。それは景気循環に乗ることです。大きな波を捉えるのです。巨額の資金を運用する方法はそれしかありません。小さな波にいちいち反応していたのでは巨額資金の運用者にとっては効率が悪すぎるのです。そして、これら本当のプロの投資家は2018年ポートフォリオの組み換えを実施しています。今もそれは継続しています。年金ファンドに比べればヘッジファンドなど小さなものです。筆者が2018年が相場のピークではないか、と言っている理由はここにあります。相場の方向性はこういった巨大な資金の運用者の動向によって決まるのです。
とうとう仮想通貨も崩れ始めた
こちらに仮想通貨ビットコインのBTCUSDのチャートを載せます。このチャートはリアルタイムで動きますのでまさに今現在の価格を示しています。このチャートを見てBTCUSDを買いと判断しますか?
筆者はこのチャートを見て、典型的な一発天井のパターンかと考えています。つまり、元の値段に戻って終わってしまうパターンです。2018年11月23日時点でBTCUSDは$4200~$4300付近ですが、ここから更に90%近く下げて$500~$600あたりまで行ってもまったく不思議はないと思っています。もちろんそうならない可能性もあります。相場に絶対はあり得ないので。BTCUSDは2018年6月あたりから2018年10月まで$6000をほぼ割ることなく、一見底堅いような動きをしていました。いくつかのヘッジファンドもこの時点で参加を試みたようです。しかし残念ながら11月14日からとうとう底割れし、その後はチャートが示す通りです。仮想通貨にはファンダメンタルという概念がないので、流行り廃りだけで動いています。そしてとうとう廃りの時期が到来したように見えます。
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日本はまだ大規模金融緩和の最中
日本銀行はいまだに大規模金融緩和を実施中です。日本を除く世界各国においては引き締めの方向に動いているにもかかわらずです。この強引さ、頑なな姿勢は後に悲劇を生む可能性があります。もし大規模金融緩和の最中にも拘らず景気が悪くなってしまったら、もはや打つ手がありません。そして、日本は世界最大の借金国です。金利が上昇すればひとたまりもありません。日本銀行は2008年にリーマンショックにより世界経済がどん底に落ち込んだ時に、当時の白川総裁が金融緩和を実施しましたが、現在の黒田総裁の緩和に比べると規模が小さく、海外投資家にとってはインパクトに欠けるものでした。アメリカFRBのバーナンキ議長が協力な量的金融緩和を実施したのに比べると見劣りのするものでした。2013年に黒田総裁が就任すると、途端に大規模な金融緩和を実施しました。その後の日本株の展開はご存じのとおりです。一方、アメリカのFRBは2013年にはもう金融緩和の縮小を発表しました。日本銀行の緩和政策は世界の流れと比較すると時期がずれており、アメリカが現在FF金利の引き上げを実施しているにもかかわらず、日銀は出口について何も言及することがありません。
日銀に支えられ続けた日本株
アベノミクス相場が始まったのは2012年後半でした。その後の展開は誰もが知るところですが、この頃は日銀だけが頼りの相場のようです。おそらくどの日本企業も日銀が筆頭株主という状況になりつつあるかもしれません。この状況は少なくとも健全な自由主義的な相場環境でないことは明らかです。官(日銀)が民間の企業に対して、輪転機を回してお金を刷って資金を提供し続けていることになります。本当にこれって企業にとっていいことなのでしょうか。大いに疑問を感じます。
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相場が崩れ景気が悪化すれば日本は大変なことになる
日本の国の借金は世界に類を見ないレベルです。しかも、いまだに借金額が増加している状況です。今後この国の借金を減らすには税収を増やす以外に方法はありません。つまり、(1)景気がよくインフレが持続する、(2)増税を実施する、この二つの条件をクリアしないと国の借金を減らすことはできません。今後もし大規模金融緩和中にもかかわらず、金利が上昇し景気が悪くなるサイクルに入ってしまったら、日本にはもはや打つ手がありません。日本という国家は金利を持続的に支払い続ける事が可能なのでしょうか?国債の金利は誰が何と言おうと重く国民にのしかかってきます。最悪の場合には国が債務不履行に陥る(デフォルトする)という事態を招くことになります。そうなってしまうと国は悲惨な状況に置かれます。その事は安倍政権も重々承知なので、2019年と見られている消費税増税の際にも様々な景気刺激策を検討している段階です。うっかりすると増税額以上のバラマキを実施することになりかねません。まさに本末転倒な増税となりそうです。
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今後の相場展開から目を離せない
2018年の相場がピークなのかどうかは後になってみないと分からないことです。相場とはあまり見通しのいいものではありません。勝てる人がごく一部に限られるのは、相場に限らずどんな勝負事でも同じです。勝てる人はやはり嗅覚が鋭い人です。何が異変なのか、きっかけなのかについて相当の嗅覚を持っています。勝てる相場師になるためには嗅覚を磨くことが不可欠です。
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勝てる、とは何か、勝てる人はやはり人と違うものを持っています。単に人と違うだけではありません。人と違ってしかもそれが理にかなっていて他の人が思いつかない最高の選択肢であることが条件となります。これができるのは残念ながらごく少数の人です。これが現実です。
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